翳り
松任谷由実さんの翳りゆく部屋が好きだった。
小学生のころから親の車で流れていた。
輝きは戻らないわたしが今死んでも
この言葉は年々重みを増して突き刺さってくる。
子供の頃は歌っている松任谷由実さんを想像し、大きな盛り上がりで、スポットライトが当たっている小さくてもきらびやかなバーのような舞台を想像していた。
色はオレンジのスポットライト。
香りは香水の香り。
高校の頃は卒業したら今が輝いていた時間になるのかなあと思っていた。
色はセピア色。
香りは、季節の香り(?)かなあ……そしてそのまま去年は中高生時代を思い出していた。
今年は自分がおばさんになったときのことを想像していた。
ここ一年位は若さ故の失敗や、若さでチヤホヤされたり、反対にレディとして扱われたりする経験もあった。
だからそんなことを思いだす年をとった自分を想像していた。
色は薄暗い紫。香りは、部屋の香りと花の香り。
女性の人生は花のようだから。枯れて行くの。
枯れても美しいものがあるけども若く満開の花の状態が最高に美しい。
そしてその美しさは散る方向に向かうだけという儚いものだ。
だから惹かれるのだ
結局行かなきゃだめじゃない。